三代目

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一方その頃、木下家では、絢香の盛大なバースデーパーティーが開かれていた。 鳴り響くクラッカー。 巨大なケーキ。 豪華な料理。 だが、主役の絢香は、なぜか少し寂しそうにしている。 「絢香ちゃん、どうしたの?  元気ないから、みんな心配してるよ?」 「ごめんね…実は今日、みんなに私の新しい家族を紹介したかったんだけど、どこかに行っちゃって……」 その時、ベランダの窓をひっかく音が聞こえ、絢香は振り向く。 「あっ、帰って来た!」 絢香は、はじけるような笑顔に戻り、ベランダの窓を開ける。 そして、そこに入ってきた猫を抱き上げた。 「みんな、紹介するね!  私の新しい家族の……」 そう言いかけた時、抱き上げた猫がくわえていた袋がかたむき、 中からドス黒い色の巨大なドブネズミの大群が、ボトボトとこぼれ落ちた。 一方、野良猫商店では、神社の床下から引っ越しの準備がすすんでいた。 「三代目……あんたに家猫は、似合わニャいよ……」  
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