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「あのさ……ハァ……ハァ……君、
スーパーの向かいにある公園……覚えてる?」
「公園?
覚えてるって……当たり前でしょ?
私は、いつもそのスーパーで買い物してるんだから」
「いや、そうじゃなくって!
ちょっといいから……ちゃんと座って話そう」
彼はそう言うと、無理やりキッチンから私を引っぱって、リビングのソファーに座らせる。
「そうじゃなくってさ……今、その公園でね、
小学一年生くらいの女の子が、一人で泣いてたんだ」
「うん」
「でね、どうしたのかなぁって思って……。
でもね、すぐに声をかけられなくてさぁ。
だってほら、今、子供に声をかけたら、
すぐに不審者扱いされたりするからさぁ」
「そうだねぇ、あなたも見ようによっては…怪しいし…」
「もう、それはいいんだって。
それでさぁ、周りを見ても親もいないっぽいし、
どうしようかなぁって悩んでたんだけど……
ほら、今日は俺の誕生日だしさぁ、そんな日に、
泣いている子がいるってのは、
悲しいなって思ってさぁ……」
「結局、声をかけたんでしょ?」
「うん」
彼は、こういう人だ。
困っている人を無視できずに、
いつも自分から、貧乏くじを引いてし まうような人。
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