断章 ある祓い屋と弟子の日常

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しかして、実際はそんな話ではなかった。 『私の弟子にならない?』 ここで霊感を持つ俺の友人二人ならこういうだろう。 それなんてエロゲ?と。 聞けば簡単な事務作業や顧客への連絡さえしてくれればいいと。 給料は払うし交通費も出す。 それは弟子ではなくバイトではないか? しかし自営業の届けは出していない、でも商売はしている。 だからバイトではなく弟子だ。これはこだわりだとドヤ顔で言われた。いや、意味わからん。 意味はわからなかったが、ただなんとなくそうした方が良いと思った。 だから俺はこの女、佐東環の弟子となった。 いや、俺もなんで了承したか未だに分からないのだが、あの時は本当にそうした方が良いと思ったんだ。 まあ、もっとも。 師匠、環さんが俺より10歳も上だと聞いたときのショックのせいで話が頭に入ってこなかったのもあるが。 28であの顔はどうなってんだと。 AKB48にいても違和感無いような顔だぞ。 何はともあれ、俺はこうして環さんの弟子になった。 環「ってなわけで、君は霊感なんて無くても面白い人だと思ったから声かけたわけよー」 「いや、その話もう聞き飽きたっす。もう十回は聞いたっす」 事務所(という名のマンションの一室)で耳にタコが出来るほど聞かされた出会いの時の話を聞きながらパソコンに向かう。 環「いやー、暇だし?思出話に花咲かせようかなって」 「俺は暇じゃないんですけど。アンタができないパソコン仕事やってるんですけど」 環「そう言うな弟子よ。ふっふっふ」 とりあえず俺の師匠は28とは思えないほどに子供っぽい、あとウザイ、あとやっぱりかわいい。畜生。 環「私、けっこうすごい祓い屋さんよ?」 そして、霊能力者で祓い屋だ。 それもかなり凄いらしい。
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