はじまり_01 目覚めるとそこは

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目を覚ましても、視界に移るのは見知らなぬ天井だ。寝る前と何ら変わりない状況に大きく溜息をつく。 無駄に広いこの家は洋風の造りをしていて、家具やら飾ってある絵やらはどれも高価な物に見えた。 洋画に出てくるような、お金持ち仕様の洋館といっても良い。 「……やっぱり夢じゃなかったか」 もう一度深く溜息を付く。 あの後、家の中を探索してみたものの、目ぼしいものは何も無く。 途方に暮れたままどうしたのかと言えば、……そのまま諦めて寝たのだ。 それはもう、ぐっすりと。 人間、ここまで追い詰められると神経が図太くなるらしい。 とはいえ、何時までも現実逃避をしているわけにもいかなかった。 「う、……」 きゅるるる、と間抜けな音が部屋に響く。 空腹。こればかりは、生理的なものでどうしようもない。 寝る前に、少し待てば家主が戻ってこないものかと淡い期待もしていたが、家の中は静まり返ったままだ。 いい加減現実を受け止めて、動かなくてはならないのだろう。 いそいそと起き上がって伸びをすると、再び洋館の中を歩き始める。 あれから日が暮れたのか、洋館の中は暗く、歩くのに少し心許なかった。 せめて灯があれば、そう思いはするものの、暗がりの廊下にそれらしき物を見つける事が出来ない。 そもそも、電気がついておらず、視界がわるいのだからそれも当然と言えば当然である。 「こう、スイッチって大体壁に付いてるものじゃない?」 試しに手探りでスイッチを探してみる××だが、その手つきはいい加減だった。 ××も本気で見つかるとは思っておらず、単なる思い付きに過ぎないのだろう。 「まあ、そう簡単にあるわけ…………」 コツンと手に硬い感触が伝わる。 それは金属のように冷たく、何やら丸い形状をしているようだった。 (まさか、本当に……?そんな馬鹿な) 半信半疑のまま、とりあえずドアノブのように回してみる。 バチッと静電気のようなものが走って、数秒の間明滅した後洋館の中を照らす。 まさか本当に点くと思っていなかった××は、暫し呆然としてしまった。 そして改めて見る洋館の中は、ホコリが積もっていて生活の気配を感じられない。 前に住んでいた住人が家を出て、かなり経っているのかもしれない。 人が住んでいないと考えた方が自然だった。 「朝はちゃんと見れなかったからなぁ……」
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