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脳内は官能的な妄想で満たされていたけど、それを表情には出さないほうが賢明だと、美咲は知っていた。
心を簡単に許さない男の人が目の前で他の種族の肉を食欲に身をまかせている。まだ男女の関係を持っていない好意を持つお互いが、肉を喰らいあう。
なんて生々しい。
グロテスクで寂しくて、美しい。
デートでは舌触りのいいものを食べたい。そうお刺身、お肉とか。美咲は自分の謎のポリシーは間違っていなかったと、膝を打つ気持ちになった。
「最近どう?」
「なんのこと?仕事?」
なんとなく恋愛のこと聞きたいっていうのは声で伝わってきたけど、私はわざととぼける。
「そうじゃなくて、男女の恋愛とか。」
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