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「……帰りたくないんだよね、本当に。警察とかマスコミとか来てたら嫌だし、親はカリカリしながら心配もしてて少し情緒不安定だしさ」
「ん? ふぅん?」
カリカリしながら心配もしてるとは、果たしてどういう感じなのだろうか。
友人が吐き出す言葉へ僅かだけ首を傾げながら、湖月は曖昧な返事をしてしまう。
「何かさぁ、わたしが狙われるんじゃないかって勝手に思い込んでるみたいなんだよね。特にお父さんが」
「狙われてるって、まさか犯人に?」
「そう。一応、死体の第一発見者でしょ? それで、目をつけられるんじゃないかってさ。昨日も今日も、暫く学校休めとか、せめて午前中だけにして帰ってこいとかうるさいのなんのって。はぁ……」
「……うん、まぁ、お父さんたちの気持ちもわからないでもないけど」
二日前の早朝、幸子は日課としているランニングの途中で、事件に巻き込まれたものと思われる死体を発見してしまっていた。
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