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パチリと瞬きをして、幸子は湖月を見つめ返す。
「何でって……。ほんの二日前に本物の死体見たばっかりでそんなにケロッとしてるんだもん。普通あり得ないでしょ?」
「そう? まぁ……見た瞬間はね、頭の中が点になるって言うか、その、え? 本物これ? ってな感じで呆然となったりしたけどさ、時間にしたら一分も見てなかったと思うよ。スマホのライトだけで、まだ周りは暗かったし」
「いや、スマホのライトだけで十分だし、夜が明けてない暗い中で一人きりでしょ? 想像するだけで十分に怖いよ。ましてや、死体の手足は切り取られてたんでしょう? そんな死体発見なんかしたら、私絶対その場で吐くし悲鳴上げると思う。……あぁ、リアルに考えたら胃の辺りがムカムカしてきちゃった」
不快感を訴えだす身体を擦りながら、湖月は歩きだす幸子と並んで教室を出る。
「そうそう。手足がね、この、膝と肘の辺りからかな。決断されてて、頭の上に並べられてたの。
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