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橋の入口ということもあり、人通りは決して少なくない場所なのだが、年中ほとんど手入れをされることもなく常に背丈の長い雑草に覆われたその一角に、幸子は歩きながら近づいていった。
基本的に誰でもそうであろうが、普段の幸子ならばこんな面白みも何もない所へいちいち近づこうなどとは思ったりはしないし、実際今までもあまり意識などはしなかったのだが。
(跡が残ってる……)
一見すれば、よくわからない。
幸子の視力は両目共に二、◯だが、その視力をもってしても見逃してしまうくらい僅かに、好き勝手に生える草を掻き分けたような痕跡がそこにはあった。
「……」
誰かが、この中へ入ったりしたのだろうか。
近所の子供か、はたまたいるかどうかも疑わしいホームレスか。
まさか、まともな思考を持つ大人が意味もなくこんな所に入り込むことはしないだろう。
一度振り向き、ぐるりと周囲を見回す。
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