その者静かに燃えゆ

7/60
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/1156ページ
「ん、右脚を上げますね。はい、力を抜いてください...お次は脚を重ね交互に倒しますね。」 整体院と聞けば「年寄りが通う場所」と先入観も多いがとんでもない、寧ろストレス社会を生きている会社員には無くてはならない物となっている。 老人よりも20~40代の男女の方が多く利用している需要の高さ。整体に限らず接骨院やマッサージ店なども、恥ずかしがらずに利用すればいいのだ。恥ずかしがっていたら何時までも治らない・改善しない。 口コミや同僚から情報を聞き、「私の痛みも何とかなるかなぁ...相談するだけでもor一度だけでも」とこの店でも利用客が増えている。 本当なら一度だけで改善はほぼありえないので、間を開けず定期的に通うのが一番なのだが、流石にお金や時間の問題もあるのでこればっかりは難しいところだ。 「背筋が楽になりましたか?肩や腰も軽く?ふふっ、良かったです、お客様に合った施術方法をするのが私達の仕事ですので。」 赤髪のスタッフが矯正を終えたら、視えない何かに取り憑かれていた負担が、消え去って数年振りに在るべき身体に戻ったと、信じられないと目をパチクリ。 確かに身体は楽になったけどこれで終わりではない、出来れば定期で通ってくださいと伝え、最後に本日の整体内容と簡単なストレッチ法を説明すれば、暗い雰囲気から一変して明るくなったOLは頭を下げて退出した。 「お大事に!」 ベッドを正して自身の身体を軽く動かし、解し、水を一口飲みこんだら次のお客様を誘導し、先ほどとは異なった矯正を施していく。 彼女は整体院で働き始めて一年。毎日実戦しながらの修行で、技術力を高めつつ少しでも楽に、笑顔に、「来て良かった!」と思われたいから。
/1156ページ

最初のコメントを投稿しよう!