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「凛、もういいってば」
「いい訳あるか馬鹿! お前、帰れないんだぞ! しかもだ! これから人殺しを強制されんだぞ! 分かってんのか!?」
あろう事か、俺達を召喚したこいつらは、魔族って輩との戦争に参加するよう言ってきた。
召喚による誘拐に、強制労働。立派な犯罪だ。犯罪以前に気に入らない。不服だ不服!
「それは、まぁ、嫌だけどさ。困ってるなら、助けたい」
「こっ、の! 連のお人好しめ!」
こいつのお人好しは今に始まった事じゃないが、見境が無さすぎる。母親の教えだから大切にしたい気持ちは分かるが、だからって誰も彼もと首を突っ込んでいくのはただの考えなしだ。
前々から何度もそう言ってんのに、こいつと来たら「情けは人の為ならずって言うし」と出た。
ただでさえ天に見放されてるんじゃないかって程に不運なんだから、もっと慎重に考えろと言うに、ったく。
「っち。連! だったらこれは覚えとけ」
そう言い、人差し指を立てる。
「一つ! 帰る方法を見つける!」
次に中指を立てる。
「二つ! ここには残らない、何がなんでも帰る! いいな!?」
「うん。肝に銘じておくよ」
穏やかに微笑む連に対して「けっ」とそっぽを向く。
話が纏まったと見たのか、枢幾卿のおっさんが涙目な御姫さんに変わって前に出た。
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