第一章 召喚

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 魔法、と言うよりも魔力が全てなこの世界。戦争は数だと誰かが言っていたが、何故こうもファンタジーな世界は個人力を重視するのか。スキル物のファンタジー作品とかを読んでいると後半のインフレっぷりが酷かったり、チート修行とかで現地人を無敵化させたり、強くすればいいって問題じゃないだろと言いたい。  でだ、特にピンチでもないこの国に魔王が宣戦布告をし、やべーと慌てたこの国が勇者召喚をして呼ばれた件の勇者の魔力と言えば、 「こ、これは……!?」 「そんな、馬鹿な……」  手首に付けた測定器。その結果に驚きを隠せない面々。大々的に映し出されたその結果に、思わず俺も感心の声をあげた。  魔力値、ゼロ。  魔力が全てのこの世界に於いて、魔力ゼロがどういう意味なのか容易に想像できる。  ついでに言うと、俺もゼロである。そりゃそうだ。地球には魔法なんて技術ないもの。発見されてもいない。寧ろそんな概念が存在して、何千年とそれを見逃しているとしたら節穴なんてレベルじゃない。多分目玉が取れてるんだろう。 「ま、まだですぞ! まだ希望はありますぞ!」  面々が落胆する中で、ローブを着たハゲ頭が声を張り上げた。
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