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じわじわと広がる。
それはさながら、体内に存在する病原菌が周囲に飛散し、次々と同じ症状の感染者を出すかのように。
「おい、お前。もうちょっとそっち行けよ」
「ええ?こっちはまだですよぉ」
「まだじゃねーんだよ混んでんだよ詰めろよ」
「先輩理不尽!!」
「げっ!理不尽とか言ってる場合じゃない!!アイツが来る!!!!」
「えっ?うわぁ!!先輩!!!」
「後輩ー!!!!」
パシャ パシャ
コトリ。
「・・・・」
鏡を見つめる三十路女。
その手には、
美白スポット集中ケア美容液
と書かれたものを染み込ませたコットン。
洗顔後、ピタピタと顔に染み込ませていた。
特に気になる部分に念入りに。
「買ってしまった…お高い美白美容液」
このやろ!消えろ!と願いながら頬にコットンをパッティングする。
「あーぁ、いつの間にこんなにシミが増えたんだろ?恐るべし拡大力」
ぶつぶつと言いながら、スキンケアに力を入れると誓った日。
2017.4.6 fin
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