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「はい」
佐藤は冷蔵庫から、不明な新薬が入ったフラスコを出した。
そして加山の指示で、分析棟に向った。
それから数時間かけて、その不明薬を詳しく分析したが、正体はまったく分からなかった。
加山は、コンピュータが出したデータを見ながら、
「アミノ酸の割合が、けっこう多い感じだね……。他の成分にも異常が見られるな……。訳の分からん新薬だね……」
加山は、考え込んでしまい、佐藤は溜め息をついた。
「博士、どうしましょう……?」
「君は、私のことを所長と呼んだり、博士と呼んだり、一貫性がないね。どっちかにしたまえ」
「じゃ、博士にします」
「なら、それでいい。こうなったら仕方ないから、ラットを使ってその効果を見よう」
さっそく佐藤は、実験用のラットを、飼育棟から運んできた。
加山自身が注射器を持ち、不明の新薬を少量、その体内に注入した。
直後のラットの様子に変化はなかった。
佐藤は興味深く見詰めながら、
「さー、これでこのラットが死ぬか? どうなるか? ですね……」
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