幻覚

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ー 女、が俺を食いたがっている。 隆哉は蜘蛛と視線を絡ませた時点で、すでに感染していた。 この白い蜘蛛は、幻覚剤に近い作用をもたらすウィルスを口腔内に保持しており、獲物の頭上から霧状にして散布するのだ。 これに感染した獲物は、官能を刺激されて身体が痺れ、すぐに動けなくなる。 性的欲求の強い10代の若者は、蜘蛛を異性と錯覚することが多かった。 獲物 - 隆哉の体内に潜り込んだ白い蜘蛛は、欲しいままに内側の肉を食み、卵を産みつけ、デスクに頬をつけてよだれを垂れ流す隆哉の口からふわ、と外へ出た。 隆哉は・・・・・幻を見ていた。 一学年上の、揺れるスカートから甘い曲線を描いて伸びた脚がエロくてそそる、と思っていた先輩が、大胆にも四つん這いになって隆哉の上に乗っている。 なのに、身体が痺れて動かない。 いつまでも、動かない。
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