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蜘蛛の尻から、シュルッと白い筋状のものが噴き出した。
ぐ、と吐き気がこみあげて、隆哉は片手で口を覆ったが、蜘蛛から視線をそらすことはできなかった。
ぐら、と身体が前に傾く。
首がデスクの縁に当たって、肩はデスクの下に潜る。両腕がだらりと下に垂れ下がった。
「・・・・・・あ・・・」
白い蜘蛛の、緑色が滲んだ不気味な頭部が目の前にあった。
つ、と爪楊枝の先みたいな蜘蛛の足先が2本、隆哉の口の端に浅く食い込む。
足はすぐに離れたが、隆哉の口についたねばつく液体が細く糸を引いた。
恐怖に冷えて痺れた指先がピクッピクッと痙攣する。
ふわ、と蜘蛛が・・・隆哉の半開きの口元めがけて、宙に浮いたように見えた。
バシッ!!!
唐突にもの凄い速さで動いた左手が、開いたままの雑誌をつかんで蜘蛛に叩きつけた。
だが・・・。
それはもう不運としか言いようがない。
軽い、軽すぎる蜘蛛は、風圧にあおられて - 隆哉の口に飛び込んだ。
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