かんせん

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「なに作ってるんだよ」  お医者さんが女の子に聞きました。 「見てわからない? ツルだよ」  女の子はそう言って、おりがみを折っていきます。  お医者さんがよく見ると、女の子のベッドの上にはおりがみのツルが数個並んでいます。 「なんだ、治るようにって作ってるのか?」 「うん」 「もしかして千個かよ?」 「うん」  お医者さんはあきれたように女の子を見ます。  でも、女の子が治したい気持ちは痛いほど理解(りかい)できました。  だから……。 「しゃーねーな。おりがみ貸せ」 「作ってくれるの?」 「患者(かんじゃ)をほうってはおけないからな」  お医者さんがおりがみをおりはじめると、女の子はたちまちえがおになりました。 「ありがとう!!」
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