プロローグ

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2***年、世界では謎の感染症が蔓延した。「緑化症」。感染すると体の植物化が始まり最後には自信から咲く花や樹に飲み込まれてしに至ると言う。現在の医療では完治の仕様がなく精々1、2ヶ月ほど進行を遅らせるのが限界だという。 世界に蔓延したこの感染症は瞬く間に広がっていきそれは俺の幼馴染みも例外ではなかった。 橘いずる17歳。産まれた瞬間レベルでの長い付き合いがあり小中高と同じ学校に通い続けた。 この感染症にかかった事が判明した彼女はそれを思わせないほどにあっけらかんとして報告してきた。夏の盛りの真っ只中、座っているだけで汗が滲んでくる。いづるの日直の仕事に付き合って居残りをしていた時だった。 「ねー、宗ちゃん私さ緑化症になっちゃったみたいなんだよねぇ」 「ふーん・・・え、なんて?」 いつもの何てことない世間話だと思っていた。だからこそ彼女の口からその言葉が出たときは驚きを隠せず弄っていた携帯を落としそうになる。当のいづるは当番日誌から目も上げない。 放課後の誰もいない教室。今は考査習慣なので部活もなく校内は静まり返っていた。 だからこそ普段良くとおる彼女声が更に良く聞こえる。 いづるは夕飯のメニューを答えるような軽さで今度はこちらを見てもう一度繰り返す。 「だーかーらー、緑化症を!発症しちゃったの!」 ご丁寧に文節に句切って。 「大丈夫?宗ちゃん、聞こえてる?」 「おーい」と目の前で二、三度手を降り眉をひそめる。 「・・・聞こえてるよ」 ヒラヒラと降られた手を振り払い彼女をなるべく視界に入れないように携帯に目を戻す。今さら遅いかも知れないが動揺を必死に隠そうとする。自分でも分かりやすすぎると思う。 「・・・いつ分かったの」 「先週位かな、何か最近体調おかしいなーと思ってたから念のため病院行ったら「感染してますね」てさ」 そう言えば先週、最近調子が悪いとぼやいていたような気がする。ただのテスト勉強疲れからくるものだと思っていた。それがこんな・・・ 「別に宗ちゃんのせいじゃないよ」 心の内を読んだかのような言葉。 「別にまだ何も言ってないよ」 「宗ちゃんの事だからどうせ「何でもっと早く気づかなかったんだ!」とか思ってるんでしょ」
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