お姉様のために!!

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 人間というものは、とにかくコミュニケーションをよく取る生き物だ。  鰻だってよくコミュニケーションは取るけれど、そこは言葉では無く、ビビッとテレパシーとか表情とかそんな感じで会話が成り立つ。  だからだね、ですね、だす。  私は話せないでいた。 「ねぇ日っちゃん聞いてるー?」 「きっ、聞いているのです」 「もぅ、ですますいらなーい」  立派な人間になると誓って早一年。  鰻の間の猛勉強の甲斐あって、人間に成りすますのは容易いものだった。  確かに初めは歩くのもぎこちなくって、よく転んでは笑われてた。  服装がおかしいと言われれば片っ端から少女漫画を読みふけり、学んだ。  お陰で私は立派な女子だ。 「もう、なかなか打ち解けないねー、こんなに仲良くしてるのに、私達の事嫌いなのー?」  くすくす笑う彼女の名は皆にスミスンと呼ばれる素敵女子、佐藤すみすさん。  正彦先輩、清美先輩と唯一タメで喋れる間柄だそう。  いつもニコニコしてて、とっても面白い話をしてくれる。
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