お姉様のために!!

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 その日の夜、私は本棚に囲まれたベッドの上に、また更に増やした本を眺めながら、悶々と悩んでいた。  打ち解けるとは、これいかに。 『ふふふふふ、対価の代償は如何かね』  いつも目覚まし並に朝から話しかけて来て、夜は寝落ちするくらい話し掛けてくる女神は、心底嬉しそうな声で問いかけて来た。  暇なのかな? 「私だって頑張ったら普通に喋れるんだもんね!」 『でも喋れないだろう?』 「それは、ちょっと緊張してさ、噛んでしまうと言うか」 『違うな、まぁお前の人見知りを治してやろうという私の優しさの裏返しと言うかだな』 「にゅぅぅぅぅぅ」  新しく手に入れた本はピンクの小さな人間がおっきな人や問答無用に無茶させる人に振り回され、ゲームの中で銃をぶっ放しまくり、走り回る話。  もう一つは、社会人になった女の子が、昔好きだった先生にばったり出会い、昔の恋を思い出しながら、ひたむきに想いを抱きながらも伝えられない、ヤキモキするでもドキドキしまくる話。  そんなどうやっても相容れない作品を交互に読みながら、とうとう枕に顔をうずめた。 「緊張するのー! 確かに代償として言葉遣い取られて困ってるし、仲良くしたいからタメ口でどんどん話しかけたいけど、緊張するのー!」 『可愛く膨れたつもりだろうがな、そんな事でこの代償は返さないよ?』 「分かってるよー、でも、私もみんなみたいに冗談言ったりボケツッコミしたりしてみたいけど……」 『すればいいじゃないか、なーんでーやねーーーーん!』  バシッと声でツッコミ音なんか言いながら話す女神は、それきり静かになった。
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