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やっと目元の涙が収まり、隣にチラリと目をやると私にハンカチを差し出してくれた男の子の姿がやっと見れた。
座ってるからわからないけど少し細身で、白い肌。
鼻筋はスッと通っていてまつ毛はバサバサと羨ましいぐらい上向きに伸びている。
好きな松井くんもキリッとした顔をしていてお母さんたちにモテモテだったけど、たぶんこの子も人気なんだろうなと何となく思った。
「大丈夫?」
私の視線に気づいたのか男の子は私の方を見て心配そうな表情を浮かべた。
コクリと頷くと少しだけ口元を緩ませて、また前を向いてしまった。
その表情に胸の動揺を感じながら私も前をもう一度向いた。
ちょうど新入生代表の挨拶を終えようとしていて、プログラムはあと校歌を歌ってた退場だけになっていた。
騒ぎ出した胸を押さえると、ますます鼓動は高くなっていく…
隣の男の子の何だか掴めない表情に私の心はいつの間にか…
3年間も想っていた松井くんの存在なんて吹き飛んじゃうぐらい惹かれていた。
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