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私は、人間が嫌いだ。
人間とは、自分の思い通りにならなくては気がすまない。
誰かの上に立って優越感に浸りたがる。
劣等感を味わえば、自分だけが辛いと思い込み始める。
愛だなんだといっても、すぐに捨てる。
人間とは、本当に醜く、意地汚い生き物だ。
私は、黙ってPCのディスプレイを見る。
目に入っているのは、とある自殺サイト。
そこでは、人生に嫌気が差した人間たちが死を決意している。
だが、この人たちはなんで、死のうと思えるのだろうか。
私には、理解できなかった。
人生に嫌気が差した。楽しいことなんてない。辛いことしかない。
だからなんだというのだろうか。
こいつらこそ、本当に辛いのは自分だけだとか思っているのではないか?
「……はぁ」
溜め息を吐いて、PCから離れる。
冷蔵庫を開けて、お茶をコップに入れる。
それを一気に飲み干すと、コップを流しに置いてから、布団に入る。
PCの電源を消し、寝ることにした。
目が覚めれば、朝の六時。
お風呂に入って朝食をとり、家を出た。
「……いってきます」
誰に言うわけでもないく呟いて、玄関を閉める。
私は、家の近くにある高校に通い、もう三年目。つまりは進路を決めなくてはいけない。
「空ー!」
私は、呼ばれて振り返る。
そこには、長い黒髪の女子。
紺のブレザーの下に、麦色のカーディガンを着て、青に赤いラインの入った制服を来ている。
私と一緒の学校に通い、なぜか私に付きまとう女子、相沢千絵(あいざわちえ)。
「千絵、おはよう」
私は、無難に挨拶をして気にせず歩く。
だが、彼女は私の隣に来て一緒に歩き始める。
私よりも、頭半分高い背と、少し大きめの胸。
「おはよ、空。あのさー今日の授業、私当てられるんだけど、プリントがねーなくなっちゃってー」
だからなんだ、と私は目で訴える。
千絵は、そんな私の視線に気づくと、手を合わせて頭を下げた。
「プリント、見せてください!」
「別にいいけど」
できれば、そのまま私に関わらないで欲しい。
そう思ったが、彼女は喜んでいて、私の気持ちは分かってくれていないようだった。
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