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私は、人間が嫌いだ。
なのになぜ、千絵を突っぱねたりしないのか。
なぜ、中田を無視したりしないのか。
理由は簡単で、私自身が人間だから。
個人差はあれど、周りに愛想を振りまくのが人間というもの。
私もその人間で、愛想を振りまいていたりする。
一度ついた印象を変えることができず、ずるずると愛想を振りまいてしまうのだ。
静かなお風呂場。静寂が訪れる夜。
私は、お風呂を出て、ご飯を作る。
簡単な野菜炒めに、白米と豆腐の味噌汁。
それを一人で食べる。
孤独。
食器の音と、私の咀嚼音だけが、この場を支配しているようだった。
食べ終わった食器を片付けて、PCに向かい合う。
そこで、私の携帯が鳴った。
ディスプレイには『相沢千絵』と書かれている。
私は通話を押して、携帯を耳に当てる。
「もしもし」
『空……』
電話越しに聞こえる声は、どこか沈んだような声だった。
いつもの千絵とは思えない、沈んだ声。
「どうしたの?」
『……明日、放課後に時間ある?』
「特に、何もないけど」
『じゃあ、明日。放課後屋上に来てね……待ってるよ……』
そう言って、電話は切れた。
よく分からないが、明日話があったりするのかも知れない。
そう思いつつ、私はPCの電源を落として、布団に入った。
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