27人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、放課後に屋上へ来てみだが、まだ千絵はいなかった。
私はいつものように、部活動に励んでいる生徒達を見下ろす。
そうしているうちに、日が傾き始め、夕暮れに染まり始める。
そこでようやく、屋上の扉が開く音が聞こえた。
「空ー、ごめんねー。委員会が長引いちゃってさ」
頭をかきながらそう言って、千絵は私に近づいてくる。
「気にしてないよ。それで、用件って?」
早速私は本題に入る。
だが、千絵は私の問いを無視して、私の隣に立つ。
そして、先ほどまで私がしていたように、グラウンドを見下ろし始めた。
「はははー! 見ろ! 人がごみのようだ!」
テンションを高くして、どこかのアニメ映画のような台詞を言う。
私は、そのテンションについていけず、呆然とその横顔を見ていた。
「……よし」
待っていると、千絵はどこか思いつめた顔になり、空を仰いで、ポツリと意気込み、私と向かい合うように身体を傾けた。
真っ直ぐと私を見ていて、思わずたじろぎそうになる。
気おされそうになりながら、私は千絵と向き合った。
「松浦空さん」
急に、他人行儀のように私の名を呼ぶ千絵。
私は、千絵の真剣な顔を見つめ返しながら、次の台詞を待った。
「私は、貴女が好きです」
きっぱりと、そう言った。
どこか、告白のように聞こえるその台詞。
だが、どう考えてもありえない。
なぜなら、私は女で、彼女もまた女。
つまり、女同士だ。
なのに、千絵が愛の告白をしているというのはおかしいのだ。
となれば、友達としての好きとなる。
ラブではなくライク。
だが、それもおかしいというものだ。
わざわざこんなところに呼び出していう事でもない。
そもそも、私はどっちの理由で好きといわれたとしても、「あ、そう」で終わらせてしまうだろう。
事実、私はそう言って流そうとしていた。だが、
最初のコメントを投稿しよう!