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廊下
僕は演劇部の備品倉庫のドアを開けて廊下に出た。そこには冷たい風が吹いていた。誰かが廊下の窓を開けたまま帰ったのだ。
もう夜だ。外は暗い。誰もいない廊下に、一つだけ開いた窓から冷たい風だけが吹いていた。
夜の学校は怖い。
誰もいないから怖いのだろうか? しかし、誰か知らない人がいる方がもっと怖い。
窓から校庭を眺めた。何か人影が見えた気がしたのだ。それとも気のせいだろうか。ちょっと神経質になりすぎかもしれないなと思った。
僕は暗い廊下を歩こうとした時だ。
「すいません」
突然、誰かが僕に話しかけた。心臓が止まるかと思った。そこには女子生徒がいた。彼女の顔が目に入ると、また僕の心臓は激しく鼓動した。
きれいな少女だった。制服は確かにうちの学校のなんだけど、こんな美少女がいたなんて知らなかった。ぱっちりした切れ長の瞳に、肩を通り過ぎるほどの長い髪。すらりとした手、長い足。雑誌でしか見ないモデルみたいな子が目の前にいる。でも、僕はそれよりも気になる事があって、落ち着かなかった。
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