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玄関に着くと、まだそこは電気が灯っていた。
先生が一人いて、玄関そばの掲示板に張り紙をしていた。知らない先生だった。いや、どこかで会っているのだろうけど、僕は男の教師にも男子生徒にも興味がなかった。クラスメートの顔だってぱっと思い出せないくらいだ。
「まだ帰らないのか」
「今、帰るところです」
「そうか、こっちはまだ仕事だ」
彼はため息をついた。弱った蛍光灯の光が彼の顔をより疲れて見せた。
「終電には乗りたいんだがな」
「先生、おつかれさまです。また明日」
「ああ、気をつけて帰れよ。お前は男だから問題ないだろうが、最近どうも物騒だからな」
先生が言っているのは、学校の近くの雑木林で変死体が出た事だろう。噂では全身が干からびて死んでいたとか。他にも胸に杭が打たれて殺されていたという説もあった。
僕は先生に会釈すると急いで学校を出た。
学校から駅までの道を僕は一人歩いていた。
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