別れ、出会う

2/8
前へ
/8ページ
次へ
この、呪われた世界に何を望めばいいのだろうか。 運命に翻弄されつつも、立場があり続けるα。 平凡でも、幸せな人生を送れるβ。 運命に振り回され続けるΩ。 神様は、どうして俺をΩにしたのだろう。どうしてこんなにも、苦しい思いをし続けるのだろう。 『蒼___。運命には、逆らえないみたいだ』 透き通る光が差し込む朝。昨晩はいつものように二人で求めあい、愛し合った夜の翌朝。 彼は俺の手を握りながら俯き、泣いていた。 「運命の番」に出会い、恋をしたのだと。 「お前に申し訳ない」と。 αの家系にあった彼は、俺がアルバイトのメイドとして働いていた家の次男だった。αの坊っちゃんとΩのメイドはまるで、よくある恋愛ドラマのように惹かれあった。 屋敷内でバレないよう、隠れてセックスしたり、夜にメイド室を抜け出して彼との逢瀬を楽しんだ。 秘密なのに、楽しくて。いけないのに、愛しかった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加