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難しい話が苦手な千雪は、意味が分からなさそうに首をかしげる。
「お前は笑ってろ。笑ってるのが1番綺麗だ」
俺は頭に手を置き悪気もなく言うが、千雪は頬を真っ赤にする。
「どうした? 熱でもあるのか?」
俺がそう聞くと、「大丈夫ですっ」と、着物をひるがえし、
その場から逃げるように去って行く。
俺はそんな千雪が好きだった。
一生離れたくない。
そう思ったのが悪かったのかもしれない。
あれからいくつもの季節が巡る。
10年、20年、30年、40年――。
あれから何百年たっただろう。
現代。
また始まる、めぐる恋。
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