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「なんじゃそりゃ!!」
立ち上がり、大声で喚いた。遥は私の行動を察知していたらしい。両耳を指で塞いでいる。
呆れて物が言えないってのはこの事だ。子供っぽいとは思っていた。思っていたけど・・・ただの子供じゃん。
私なんかより、遥かに精神年齢が下だ。下過ぎる。
「言ったでしょ?厄介な人だって。」
言ってた。進藤さんも言ってた。『厄介な人』だから気を付けろって。言ってたけど・・・だ。
私はそんなしょうもない理由で、あんな想いをしたの?
色んな人を巻き込んで心配させたの?
あーーと呻き声を上げ、私は脱力したようにソファに座り込む。
本当に勘弁して欲しい。心底、疲れた。
それからどれくらい時間が流れただろう。遥の肩にもたれ悄然としていた私は、何だか騒がしくなった扉の向こうに目を向けた。
ーーなんだ?
「来たな」
「来た・・・?」
首を傾げ、何が?と問おうとした私の言葉はバンッと勢い良く開かれた扉によって遮られた。その大きな音に、心臓がドキッと音を立てる。
びっくりするじゃないと、キッと睨み付けた先に居たのは、黒いスーツを纏った響さんだった。
「・・・響さん」
余裕をなくし焦った顔が、私を見つけ安堵に変わる。
「大丈夫みたいだな」
「響さん!」
私は響さんに走り寄り、抱き着いた。
「響さん、響さん」
しがみ付く私を抱き締め返してくれる腕と響さんの匂いに安心する。
来てくれた。私のメッセージに気付いてくれた。いつかは気付いてくれるはずって思ってたけど、こんなに早く探し出して貰えるなんて思わなかったから、すごく嬉しかった。
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