SIDE:隆

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右手に携帯を持ち、そこに書かれてある文章を読みながら俺は眉間に皺を寄せた。 メールの内容は、久しぶりに飲みに行こう、という友人からのものだったが、店の名前を見ていやな予感が頭を過ぎる。 『よう、隆。久しぶりに飲みに行こうぜ。店の場所は新宿なんだけどどうだ? ラッキーって店だ。俺は少し遅れていくから先に入っててくれ。 立花』  これだけのメールの内容に、俺の意見は聞く耳がないんだな、と眼鏡のブリッジを押しあげて遠い目になる。 決定事項なのか、と渋い顔になるのは当たり前だ。 それでもこうして新宿へ足を向けている俺は、冷徹そうな外見を裏切り情に厚いのだ。
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