ヘム達の黄昏

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きっと誰もが、そんな未来を信じて疑わなかっただろう。 そう……空気感染では無いのだから、爆発的な感染など有り得ないとタカをくくっていたのである。 俺も含めて、日本人の大多数はそう考えていた筈なのだから――。 しかし、現実は違っていた…。 異変を知ったのは昨日――。 テレビによる報道だった。 夕方、テレビ番組を見ていると緊急報道に切り替わる。 「ヘム感染が、都内全域に溢れかえっています! ここ杉並区も、御覧の通りヘム感染者が溢れかえっております、皆さん早く避難してください! ここも、もう――。」 女性アナウンサーが、そう言いかけた直後、一人のヘム感染者が「ブッチューン~。」という奇声と共に、彼女と熱いディープキスを交わす。 そして、数分後、言うまでもなく彼女はヘム感染者と化した。 (何だこれ……? 滅茶苦茶、ヤベェじゃんよ――!?) 俺は慌てて、母さんに声がけした。
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