ヘム達の黄昏

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「母さん、外はヘム感染者だらけだ! 俺達も早く逃げないとヤバいよ、早く逃げる準備して――!」 「えっ――? でも御月【みつき】、まだ御父さんも、お姉ちゃんも帰ってきてないのよ? 二人が来てからでも――?」 「何言ってんだよ、母さん!? 外はヤバい状態なんだよ? 父さんや姉さんだって、きっと何処かに避難してるって――。」 「・・・・分かったわ御月。 直ぐに準備するから――。」 母さんは、そう言って準備を始めた。 しかし、数分後、不意にインターホンが鳴り響く。 「御月、やっぱり御父さん帰ってきたわ――。」 (えっ……? 無事だったのか…。 でもだったら何で電話しなかったんだ?) 悪い予感がした。 「母さん待って、まだ開けないで――!」 俺は自分の勘を信じて、階段を降りながら母さんに向けて叫ぶ。 だが、そう叫んだ時は既に手遅れだった。
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