旅立ち

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だから、会いたいが会えない。 彼らはアイドルで彼女ふたりは一般人だ。 会いにいくにしても遠すぎる。 まだ中学生二人の夢は叶わずじまいとなった。 だが、そんな有実の言葉を打ち消したのが圭織の言葉だった。 「ならさ、会いにいく理由を考えればいいんだよ!」 「え?」 「だから、あれだよあれ!」 「あれ?」 「うん、うちらもさアイドルになればいいんだよ!」 「……え?」 「だから、アイドルになればいいんだよ!」 「……無理」 「そんなバッサリと言わなくても……」 「うちの顔じゃ入れるわけないし、韓国のアイドルになるにはかなりの時間が費やされるって言うじゃん」 「でも、アイドルになればルニーオッパやラウスオッパに会えるんだよ?!」 ルニーオッパとラウスオッパというのはESTERのグループのメンバーのことだ。 圭織はなにがなんでも会いたいと言い出し聞かなくなり 有実は少し困っていた。 「それにさ、まだ納得してない部分だってあるでしょ?」 「!……それは」 「彼らに会って真実を確かめたいんだ。なんでいきなりいなくなったのか」 「それは確かにうちだって気になるけど……」 「だからさ!お母さんたちにたのもうよ!韓国に渡らせてくださいって!」 「アイドルになるって言ってもそう簡単に練習生の面接があるわけじゃないでしょ?」 「さっきいろいろ調べてたらあったよ」 「は?」 「あったんだよ!同じ事務所じゃないけどさ、彼らに近づく第一歩としてさ試してみようよ」 圭織は少し押し売りな感じで有実に問いかけた。 圭織はまだ諦めていなかったのだ。 どうにかして彼らに会いたいと思っている。 一般人ではダメ。 なら、同じアイドルになればきっと彼らは自分たちに気づいてくれると。 そう願ったのだ。
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