【壱】

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「……また何をしたの要」 「俺が女子には甘すぎるとかなんとかで勝手にイラついてんだよ、本当意味わかんないし」 「ああ、仕方ないね、要はモテるもんね」 「だからさ、モテたことなんてないってば!!なんなの?妖のモテる基準おかしくない!?」 どいつもこいつも変な言いがかりばっかりしやがって、と要は憤慨する (人間の辞書でも引いてモテるの意味を調べてこい) 要がブツブツ呟きながら眉間に皺をよせていると徹祈はいきなり吹き出して要の頭をポンポンと叩く 「これは兆候が現れるのはまだまだ先になりそうだね」 「は?どうゆう意味だよ?」 「まぁまぁ、それはさておき私たちもそろそろ中に入ろう見世(みせ)の時間だよ」 徹祈がパチンと指をならすと同時に、辺りの鬼灯(ほおずき)が薄く光り始めた これが要たちの家の店が開く合図 それまで何もなかった家の前に朱色の門が現れ、門の中央に鬼灯に彩られた看板が掲げられる 「鬼灯庵」 妖しか入ることが出来ない、不思議な店が今夜も開く___
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