【弐】

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徹祈の見世は普通じゃない。 妖しか入れない時点ですでに普通じゃないが 徹祈の見世で売るのは”位の高い妖の妖力” でも瓶や壺に入れてそれらを売っているわけじゃない 妖にとって妖力は人間で言う生死を左右する。それが低下し衰弱した妖は自分より高い位の妖に妖力を分けてもらわないと消滅してしまう、妖には「死」は存在しない。 妖力を失った時点で跡形もなく消え失せる その大事な妖力を分けてもらう方法は”間接的な交わり”か”直接的な交わり” そう、徹祈の見世は遊郭の様なものだ(風俗店と言うと徹祈に怒られる) 妖の為の立派な保護活動だと言っていたが、遊郭風なのはほとんど徹祈の趣味によるもの 吉原の遊郭のような建物にこだわったのも何か映画や漫画の影響だろう だから徹祈の見世は店ではなく見世 見世には様々な妖が来るので、要と美桜が手伝いをするのは客が現れるまでの間だけ あとは徹祈が取り仕切っている 見世でなにが行われているかは要も美桜もなんとなくしか分からない ただ、見世で妖力を分け与えている妖達は皆、訳ありで徹祈に恩があると言う 見世にはたくさんの個室が設(しつら)えてあるので、見世が本格的に始まる前に要と美桜は各部屋の掃除が主な手伝いであとは雑用などを任されてる 「和泉、ご飯出来たよ」 二階の突き当たりの大きな部屋はこの「鬼灯庵」の一番人気の和泉(いずみ)の部屋 元は人間で、死の間際に九尾という狐の妖と契約して妖となったちょっと特殊な事情を持つ妖 そして、一番徹祈との付き合いが長い妖でもある
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