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「よかったぁー途中で迷ってぇー…そしたら急に力が抜けちゃってぇ…」
ぎゅうっと力を込めて抱きしめてくる茉莉に、徹祈が尋常じゃない量の汗を噴出させる
「……っ…!わ……わかった………分かったから…離れ……」
「ひ~ど~い~!私頑張ってここまで来たのよ?…徹祈さんたら居場所すぐ隠すんだもん」
徹祈の背中に飛びついたまま、自分の頬を徹祈の頬にすり寄せようとする茉莉を、伊那也が肩を掴んで強引に引き剥がす
「……おいお前、離れろ。今は話出来る状態じゃねーだろ」
その場に崩れる様にしゃがみ込んで、身体を震わせる徹祈と呆れた顔の伊那也を見比べた茉莉はキッと大きな目を吊り上げる
「……あなた…本当になんなの?わたしの匂いも効かないし…人間?妖?……それなら私の誘いを断れるはずないわ」
睨みつけてくる茉莉から伊那也は一度視線を落として、再び茉莉の顔を見ると馬鹿にする様に笑う
「………そんな残念な胸でどっから沸くんだその自信?」
伊那也の一言に、茉莉はキーッと全身を逆毛を立てるように震わせる
「女は胸じゃないのよっ!!なんなのっ!?本当に失礼ね!!」
茉莉が伊那也に爪を立てようとした時、茉莉の首と体に白い尻尾が巻きついて一瞬で茉莉の身体を宙へ浮かせる
「……っ!?……これ………あの女狐の尻尾……?!」
「正解だよ、この発情猫………何しに来たんだい?」
煙管を持ち口からゆっくりと煙を出しながら、徹祈の部屋に現れた和泉は尻尾の先にいる茉莉を見て冷たく微笑む
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