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(ここで彼を満足させても面白くないわよね)  今の今まで、嬉々とした表情で男の体を弄んでいたにも関わらず、彼女の目からは光が失せ、顔面の筋肉も緩んでいく。  冷めた目で見下ろす彼女の視線を背中に受け、これから与えられるであろう新たなる快楽を想像した男は、ゾクゾクとした気分を益々高揚させていく。  だらしなく開いた口からは涎をこぼし、今この時間、自分を支配する『主人』に対し、懇願するような鳴き声を上げる。  同時に、自分では決して見る事の出来ない大切な部分に埋め込まれた、白く艶めかしい手を、奥へ奥へと誘うかのように腰を動かす。  パクリと割れた桃の赤い果肉が、みずみずしい音をたてながら、咥え込んだ『獲物』を、少しずつ少しずつ呑み込んでいく。 「ふ……うぅ―ん」  低く。  それでいて、鼻に抜けるような甘い吐息が漏れる。 (あらあら、好き勝手に動くなんて。お仕置き決定だわ)  盛り上がっていく男のボルテージとは反比例して下がっていく彼女のテンション。  興醒めしたとばかりに、一気にその手を引き抜く。 「ひゃうんっ」  顎を突き出すようにし、背を仰け反らせると、張り詰めた筋肉で覆われている雄々しい体には似つかわしくない可愛らしい悲鳴を上げる。
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