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「純哉さんって、兄弟いたのねー。長い付き合いだと思ってたけど、まだまだ知らない事あるんだね」
そう言って笑ったノリカおばさん。場を和ませようとしてるだけはわかった、
「自分も覚えてないぐらい子供の頃だったので再会した時は驚きました」
スラスラと悠哉の口から出てくる言葉。たぶん本当なんだろうけど、なんとなくやっぱり違和感。
「あぁもう、詳しい話しは後々。とりあえず写真撮りましょ?」
ノリカおばさんはそう言っておじさんにカメラを渡し、「去年は私が目つぶっててヒドイ仕上がりだったんだから、今年はバッチリ撮ってよね?」と念を押していた。
去年って、この二人来てたのか?
確かに三人入学したけど、木村家の子供の入学は一年おき。
当然去年は休みの年のはずだ。
俺が訝しげに見てた事に気付いたのかノリカおばさんは「だって、親友の子がこの学園に入学試験受けて入ってくるのにお祝いしないわけにいかないでしょう?」とよどみなく答えてきた。
親友の子とは咲良ちゃんの事だ。
バリキャリだというノリカおばさんだけど案外、融通のきく職場なのかもしれない。
「前列は今日の主役二人ね、あとは適当に」
ノリカおばさんのあいかわらず大雑把なところは健在で。それに慣れている俺達はすっかりと整列して写真に収まる事になった。
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