梅雨入りと

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リリは伏せていた目を俺に向けてきた。 さっきは戸惑うように動いてた目線が今はしっかりと俺を見てる。 「いい、の?」 「リリじゃなきゃダメって言ってる」 最初から。 ずっと。 その気持ちを込めて繋いでいた手を握り直した。 すると、リリの瞳が潤んできて瞬いた瞬間ポロリとしずくが落ちた。 リリの笑顔も好きだけど、泣き顔も好きだなんて思った俺。重症。 リリのどんな表情も一番近くでみたい。 そう思った途端、繋いでいた手を引いて更に距離を縮めた。 もう片方の手で捉えればリリを包み込める。 でもまだリリからの了承を得てないから、かろうじてここで止めてる。 あーもう無理。可愛すぎる。 俺の理性早くも終了。 だから、 「今すぐ権利ちょーだい」 じゃないと俺、許可なく触れそうで…… 「権利なんて、」 下を向いたまま話始めるリリ。 「ん?」と相槌をうち、その続きを待つ。 これまでになく近い距離でリリは、赤くなった顔をあげると 「権利なんて最初からいらない」 ん?それってどういう?
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