86人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
梅雨入り宣言されて以降、シトシトと雨は降り続いている。
いや、やっと本当に梅雨入りしたって実感し始めたばかり。
「レイトー、今月って何作んの?」
「あー先月急遽タルトにしたから、5月に予定してたシュークリームかな」
「お。マジで!?」
シュークリームは暑くなる前に作ろうと思ってた品の一つ。
生クリームが溶けない季節にっていうのと皮の部分をサクッと作るためだったんだけど。
梅雨入りしたからサックリとはいかないかもしれない。
「今月の夕飯メニューはリューセー担当だからな」
「え?マジで!?」
今度のマジではすごく嫌そうだ。
「自分が食べたいの作れるんだから良いじゃん」
「まぁ、そうだけど。けど、なぁ」
リリの母親案が採用された今、金額制限がある。
そこは俺も専門外なんだけど、
「それはサクラちゃんに相談すればいいんじゃね?」
俺がそう言うと琉成は顔をしかめる。
「レイトさー」
「ん?」
「ずいぶんスッキリしてるけど、問題解決してないのわかってる?」
リリからの特別発言の後、何が変わったのかと言えば、会いたい時に誘うことに戸惑いがなくなったこと。
実際、付き合うとかそういう言葉は一切言ってない。
あのとき、特別発言に浮かれてウッカリ付き合おうって言うのを忘れてしまってた。
「……わかってる」
最初のコメントを投稿しよう!