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保護者および、邪魔物の居なくなった桜の下。
「ていうか、何アレ」
開口一番そう言ったのは俺、ではなく琉成。
かなりキレそうだったらしい。
「十何年ぶりに帰ってきた直哉おじさんが息子を伴ってたってだけ」
悠哉は吐き出すように言ったけど、それは見てればわかる。
「いや、だから。何あの態度」
琉成、それだ。
イタリアに住んでたらなおさら、もっと愛想振りまいてもいいぐらいだと思う。
「おじさんからは頼まれてるけど、彼からはくれぐれもほっといて欲しいと言われてる」
「なるほどねー」
きっと直哉おじさんとやらはイタリア人並のコミュニケーション能力を身につけてるんだろう。
その息子が同じかというとそうでもないのは身を持って体験してる。
反面教師ってヤツ?
まぁ違うかもしれないけど、それでも少しは親近感がわいたのは嘘じゃない。
「ま、俺達は学年違うし。ソコソコでいかせてもらうよ?」
「うん、そうしてくれるとありがたい」
悠哉がそんな風に言うぐらいだからほとほと困り果ててるんだろう。
リリと顔が酷似しているだけに捨て置くことも出来ずに。
チラリと横のリリを観察する。
能面のように微笑を張り付けてる、
俺が、
尤も
嫌いな
その顔を。
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