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ゆっくりと視線を動かし俺の方を見る蒼哉。
クールな印象を与えるその目元には鋭さが加わって刺すような強い印象で。
女子なら怯みそうな所だけど、俺がそんな目をさせてることは十分承知。
「何が?」
しゃべれないわけじゃないのに単語での会話が多い蒼哉。
だけど今に限ってはそれさえも強く責めるように聞こえる。
俺が突っ込んで聞くのは間違ってる。
だからなんだと言いたい気持ちは十分伝わってるけど。
「はじめっからずっとおかしい。だから“何か”じゃなく“何が”と聞いてる」
こんなニュアンス的な聞き方で伝わるかはわからないけど。
蒼哉は下を向き深くため息をつくと「ユーヤもレイトもほんと面倒くさい」と呟くように言った。
ほっとけとか、うるさいとかそんな反応を考えていた俺は面倒くさいと言われるとは思わなかった。しかも、悠哉と一緒にされるとか。
「俺なら良いんだよ。けど、リリはほっとくなんて出来ないからね」
「……ただ、俺が嫌われてるだけ」
「嫌いじゃないだろ?避けてるのはわかるけどね」
そこまで俺が言うと蒼哉はもう一度深くため息をついた。
リリの笑顔が戻るまでは、諦めるわけにはいかない。そんな俺の気持ち、わかってくれたか?
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