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その後は和やかにシュークリームの試作をし、レシピの修正も終えた頃、蒼哉のスマホから受信音が鳴った。すぐにそれを確認した蒼哉。
「ナオヤから。松濤で夕飯食べるらしい」
「……おばあさま張り切って、すごい量出てきそう」
蒼哉とリリはイトコだからリリも当然よく知ってるわけで。無意識に口から出た様子のリリ。
「ナオヤ大食いだから大丈夫」
それに蒼哉はもちろん答えるわけで。今日二人の会話がはじめて成り立った瞬間だった。
せっかくのその雰囲気を壊さないように「きっちり食べてもらえると作りがいあるもんなぁ、気持ちわかるわぁ」と軽く続けた。
「あ、そうだ。シュークリーム持って行ったら?」
咲良ちゃんの提案には賛成。
蒼哉と二人だと持て余してた試作品も食べてくれる人が居るならその方が良い。
しかも試作とはいえ、かなりのできばえだったし。
「ちょい待って、保冷剤出すわ。スイーツ用の箱も多分あるし」
キッチンの上の棚に確か置いてあった。
それを組み立て保冷剤も入れ「全部いいよな?」と残ってるシュークリームをすべて入れて蓋を閉めた。
「おばあさまにシュークリーム持っていくって伝えた方が良いかも……」
リリは俺の方を見て言うけど。いやいや、蒼哉の方見ていってあげてよ、リリ。
「だってさ、ソーヤ」
「わかった。ナオヤに伝える」
今日の所はこれでも蒼哉がちょっと嬉しそうだったからいいか。
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