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とは言え、
出されたパンケーキのおいしさと言ったらかなわないレベルで。
いや、当たり前なんだけど。
人気のパンケーキ屋で、もちろんプロが作ってて、ウマいのはわかって食べたにもかかわらず想像の相当上いく美味しさ。
なんつーか、
テンションだだ下がりで。
美味しいのに素直にそれを味わえない自分がどうにも。
「今度、こういうの作ろうか」
俺がへこみ始めたところでそんな風に言ったのは琉成で。
スイーツ男子会と称して何度か開催したけど、実際作ったのは俺と悠哉だ。
琉成は専ら食べる専門だったくせに。
「そういうの、作業してからにして」
冷たく言い放ってやった。
けど、もちろんリリにも咲良ちゃんにも内緒でやってたから。
「えーそんな楽しそうな事してたの?」
と、咲良ちゃんに突っ込まれるのは予想通りで。
琉成め、今回も図ったな。
「ホワイトデーのね、練習してただけだけどね」
悠哉はそうスマートに返したけど、そんなことぐらいであきらめる咲良ちゃんじゃないのは知ってるはずだ。
「リリちゃん、私たちも一緒にパンケーキ作りたいよね?ね?」
そう来ると思ってた。俺はかまわないし、むしろ歓迎するし。
琉成の策略に乗ってやってもいいぐらいだ。
一身に注がれた視線。
「え、と。あーうん、そうかな?」
何その最後の疑問系。
そうだね、でいいと思うんだけど。リリ。
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