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「琉成はさ、こういう事やらせたらほんと右に出るものはいないと思うよ」
しみじみ言う悠哉に俺も横で頷く。
確かにクラスでなにかするとか、琉成がいると文句もなくスンナリ決まる。
「そう?俺は楽しいことが大好きなだけ」
無意識でしてるとばかりにシレっと答えた琉成。
実はそれ、計算されてるってことぐらいさすがに長い付き合いで俺も気づいてる。
3人兄弟の真ん中で、自由に見えて自分の立ち位置ってものを子供のころから探していたんだと思う。
親の愛情は3分割じゃないという琉成。
長男というだけで一番の愛情を
二番目はそこそこで
末っ子しかも女の子が生まれてからは存分の愛情を注がれているのを見ていた
だからこその言葉。
俺は一人っ子だし、正直なところはわかってないのかもしれない。
「うん、それもわかるんだけど。木村会長とは違ったアプローチで上に立てる人間だと思うよ、ほんとに」
「は?何言ってんのユーヤ。ないない」
どうやら悠哉は来年の生徒会のことを考えてたらしい。
「ていうか、まだ4月。むしろ今日初日」
ケラケラと笑い飛ばす琉成に。
案外、悠哉は本気で言ってることを感じた。
「でも毎日が楽しければそれって素敵、だね」
ポツリとつぶやいたリリ。
その瞬間そんな未来を想像してみんなが微笑んでいた。
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