謎の男と雨上がりの空

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「特別な材料じゃなければうちにあるよ、たぶん」 「さっすがー」 「なきゃ、近くにスーパーあるし」 うちのマンションから徒歩1分の所にインターナショナルスーパーがある。 マンションを買う決め手になったのがそれだという。 デリカテッセンなんてほとんど利用しないくせにその充実に心惹かれたって。 「何なら夕飯つくるし」 甘いものだけをつくるわけじゃない。 素材が生まれ変わっていくのを見るのは好きだ。 母親はほとんど料理をしない、というかできない。 子供のころは家政婦が来て作ってくれてたけど、気づけば自分で作るようになってた。 血だって周りは言うけど、俺は環境だと思う。 「あー、先に始めてていってる」 「はは、予定変更でうちでパーティなわけね」 琉成から言付けを受け取り「それじゃ適当になんか作ろうか、咲良ちゃん」というと咲良ちゃんは目を輝かせてメニューを考え出したのが手に取るように分かった。 その隣で、やっぱり時々ぼんやりしているリリが今一番気になっていた。
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