謎の男と雨上がりの空

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「うわー素敵なキッチンだね」 キッチンを見るなり咲良ちゃんは目を輝かせた。 「あー、咲良ちゃんは初めてだったか」 「うん、朔也おじさんのこだわりのキッチンなんでしょう?」 オヤジのこだわりのキッチン。でも俺の基準はこれなわけで。 「まぁそうらしいね、とりあえず冷蔵庫見てみるか」 もちろん俺たちの夕飯のメニューを考えるため。 最初に野菜室を開ける。週に1,2度契約農家から野菜が届く。 旬のもの、自信のあるもの野菜であればなんでも。そこからオヤジのインスピレーションが生まれることもある。ちょうどそれが今朝届いたばかり。 「今回は結構普通だな」そう言いながら冷蔵室をあけると見慣れぬ四角い箱。ケーキとか入れる感じの…… そのまま取り出してみると上に付箋でメッセージが貼り付けられてた。 「『入学おめでとう マキ』って、朔也おじさんとこのパティシエさんじゃん。レイト早く開けてみろよ」 急にのぞき込んできた琉成にせかされるままにそれを開けてみる。 そうだ、今日はお菓子の日だからそのメニューの中から…… 「うわぁ、ふわっふわのシフォンケーキ」 「お、なんかメッセージがある」 ケーキの箱の中から出てきたのは『このシフォンケーキに合うもの次回までの宿題』ってお祝いじゃないじゃんマキさん。 俺の師匠はそう簡単には祝ってくれないらしい。
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