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「桜。綺麗に咲いてるのに、雨で散っちゃうかな」
学園の桜を思い浮かべたのか遠くを見るような眼で言うリリ。
隣にいるユーヤは無反応。そこまで空気に呈していなくても。
ウッカリ笑ってしまいそうな俺は「どうかな」と言うのがやっとだ。
「止むといいね、せっかくの入学式なんだし」
そんなことには全く気付かないリリはそう言って微笑んだ。
確かに昨夜から降り続いている雨は満開の桜を散らしそうな勢いで。
せっかくかどうかは別として、桜に雨は似合わない。
まぁでもたぶん。
「俺、晴れ男だし。止むんじゃない?」
そう、俺のかかわる行事があるとき。もっと言えば写真に収まる時はほぼ天気は晴れ。
今日みたいに朝、雨が降っていても後には止むのはいつもの事。
リリだってそんな事、知らないわけじゃないはずなのに。
それ覚えてない?
ていうか、そんなこと興味ない?
まじで。そんなのありえない。
“せっかく”の入学式なのにいきなりテンションダウンなんだけど、俺。
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