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新しいクラスに入り、ぐるりと教室を見渡す。
制服のブレザーの色が変わっただけ。
あとはほんの数週間前に道路向こうの校舎で一緒だった連中ばかり。
おかげで高校生になったという実感はほぼない。
しかも神代(カミシロ)と木村だから席も前後ろ。
「やっぱ、レイトと一緒だと安心だわ」
「何がだよ」
そう突っ込みもいれたくなる。
本当に腐れ縁過ぎる琉成との関係。
後輩の女の子に本気の顔して「リューセー先輩と付き合ってるんですか?」て聞かれたことがあるぐらい。
いや、もしも俺の好みが人類すべてだとしても。
琉成だけは選ばないと断言できる。
あんな腹ん中で何考えてるかわかんない奴。普通に無理。
と、たぶん琉成も同じ事思ってるはず。
「レイト、今年も一年、よろしくなー」
「はいはい、よろしく」
ガタガタと音を立てみんなが席を着いたところで教壇を見ると担任が入ってきたらしい。
一応、聞いているふりだけして窓の外を見る。
相変わらず雨はまだ降り続いているようだ。
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