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パティシエのマキさんは俺の小さい頃からずっと働いてくれてる。
本当は独立してもいいぐらいの腕なのにもったいないからってことでの月一でお菓子の日を設ける事になったらしい。
どうせ今日をその日にしたのは父親がマキさんに我がままを言ったからだろうけど。
ていうか、ただスーツを着てるだけなのに、やたらとそのキラキラを纏うのやめて欲しい。
料理人としては本当に尊敬するけど、なんていうか見た目が……。
常にスーツで知的メガネの悠哉んとこの父親とは全然ちがう。同級生のはずなのに。
ほんと出来るもんなら交換して欲しいぐらい理想の父親像とはかけ離れている実父。
小さくため息をつくと顔をあげる。
琉成のとこも両親揃って出席したらしい。あいかわらず溌剌美人のおばさんと尻に敷かれて嬉しそうなおじさん。
悠哉のとことは違うけど、これもよくある家族の姿って感じだ。
それに比べてうちは、一分の隙もない造作の母親と無駄に愛想を振りまく父親。たぶん他人からすればキラキラ家族に見えるだろうけど、
「遅くなってすみません」
そう言って悠哉が歩いてくる。リリと一緒に、とその隣にまるでリリと双子だと言っても疑われないほどそっくりな男が一緒に居た。
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