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それは、辺境伯側に属する、南方警備軍指揮官ドルトフ将軍が、内戦勃発直後に脱出、その後、王国より東方面、すなわちウライバ藩王国の方角に向かっていたことが判明したと云うものであった。
逃走には大型飛空船が用いられ、その中には将軍直属の旗本衆残党である鉄甲騎六騎、装甲騎士四十騎、そして、先祖伝来の凱甲騎が搭載されているとのことである。
これが、ゼットス一党との戦闘後、臨戦態勢が解除されない理由である。
「兄上、早く悪者やっつけて、私に休暇くれないかなぁ……でなきゃ、将軍が別の国とかに逃げてくれないかなぁ……」
副隊長とは思えない言葉を呟きつつ、シディカが窓辺にもたげたそのとき、
「副隊長!」
「……はいっ!?」
気がつくと、セレイが肩を怒らせ、頬をふくらませながらシディカの側に詰め寄っていた。
「……報告書、届けなきゃならないんですけど!」
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